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ワンだ~ランド

wandaland.exblog.jp

なにげない出来事を薄く薄くのばしていく金箔職人ワンだの世界

蜘蛛の糸

その日私はまだ明るいうちに帰宅した。
残業する事も無く、こんなに晴れ晴れとした気分で職場を
後にするのは何年振りだろうか。

私は2階の自室に行き、窓が全部閉まっているのを
確認した後、「よーーーーーーしゃーーーっ!!」と叫んだ。
そして「勝ったぞーーーーーっ!!」と。

無論鬼山・鬼林とは戦っていない。
非暴力・無抵抗主義を押し通し、息をひそめる様にして
毎日を送っていたのだから。
しかしそれでもなおかつ「勝った」という言葉が思わず口を
突いて出てしまった。

ともすれば挫けそうになり、考えてはいけない事を
考えそうになった自分に打ち克った、という気持ちも
あったのだろう。

あの頃は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」という短編を時々
思い出したものだ。
「極楽」とは「新しい職場」、そしてか細い蜘蛛の糸に
すがりつく「カンダタ」は「私」そのものの様な気がした。
血の池地獄から這い出そうと足下でうごめいている
罪人どもは、もちろん鬼山と鬼林だ。

蜘蛛の糸はいつぷっつりと切れるとも限らない。
私自身の忍耐力や気力が無くなってしまった時に糸は
切れてしまう。
だめだと諦めた瞬間奈落の底にまっ逆さまに落ちて行った
だろう。
私の弱り果てた精神力で命を繋いでいくのは簡単では
なかった。

しかし私に救いの手を差し伸べてくれる目に見えない存在や
仲間がいたからこそ、最後まで踏ん張れたのは言うまでも
ない。
by wanda_land | 2005-09-21 22:05 | ワンだ日記