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ワンだ~ランド

wandaland.exblog.jp

なにげない出来事を薄く薄くのばしていく金箔職人ワンだの世界

シャドー・ボクシング

怒っていなくても恐い顔をした鬼山の胸ぐらを引っ掴んで
がつんと一発かましてやるか、それとも氷の様に冷静な
口調で淡々と諭して、私が1枚も2枚も上手だという事を
思い知らせるか。。。
何度も繰り返しセリフを練っているうちに夜が明けた。

これ以上彼女の暴走を許してはならない。
看護師とケアマネジャーの資格を持っているので、
選り好みをしなければ次の職場も程なく決まるだろう。
辞めてくれて大いに結構だが、その代わりに犬森さんが
更に重責を負わされるのは絶対に納得できない。
上司からちょっと注意されたから辞める、などとは決して
言わせたくなかった。

私などたかだかカルテの置き場所で意見が食い違った
程度で、上司から烈火の如く怒られてしまったのだから。

「せっかく私が決めたのに、ワンださんがそんなに言うなら
もう私は知りませんよ!!!
後は自分で何でもすればいいじゃないですか!!!
私は辞めます!!! もう来ません!!!!!」

事務長が額に青筋を立てて顔を真っ赤にしながら、ロッカーのドアを
力任せに閉めた時には、びっくりし過ぎて息が止まりそうだった。

翌日その彼が笑顔で手を差し出し、「昨日はごめんね。」と
言いながら握手をし、一件落着となったのだが、鬼山の
場合はそんな私とは比較にならないレベルの問題である。

施設長とケアマネジャーの兼任という100%不可能な指示が
いつ正式に出るのか、犬森さんと2人して戦々恐々としながら
待っていたが、いっこうにその兆候が現れない。

鬼山が突然辞めると言い出した時に備えてシャドー・
ボクシングに余念がなかったわけだが、何日経っても
ちらりともそんな噂が聞こえて来ない。
天狗はまたもや無傷で生き残った。
残念至極この上無しである。
by wanda_land | 2005-10-12 21:46 | ワンだ日記

by wanda_land