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ワンだ~ランド

wandaland.exblog.jp

なにげない出来事を薄く薄くのばしていく金箔職人ワンだの世界

2007年 08月 29日 ( 1 )

その日は休日だったが、2日間もワガママをさせて
もらったので、午前中だけ出勤する事にした。

同僚に迷惑を掛けたお詫びと、アーニーの安らかな
最後を看取った事を職場の連絡ノートに書いた時は
さすがに涙が滲んだが、その後は普段通り仕事に
集中する事ができた。

12時になって帰る準備をする前にちょっとだけ
携帯メールをチェックしてみると、やはり猫福さん
からのメールが届いていた。

「夕べはよく眠れたでしょ。
アーニーが笑って教えてくれました。」

冒頭部分でいきなり驚かされた。
彼が傍にいたとは!

しかも悲しみに打ちひしがれて夜通し眠れなかった
はずの私が、ぐーぴー寝ていた事をちゃっかり
猫福さんに報告していたとは!

最後までメールを読めばせっかく抑えていた感情が
爆発してしまうと分かっていたので、急いで携帯を
バッグに入れて帰ろうとした時だった。

「ワンださん、聞いてます?  あの話!!」
施設長が真剣な顔で聞いてきた。
そのあまりの迫力にたじたじとなる。

「いえいえ、悪い話じゃないんですよ。
実はですね。。。」

鬼山・鬼林コンビの下で事務をしていた香奈さんの
異動が決まったというのだ。
現在建築中の施設へ正式に異動するまでの間、私の
職場ともう1ケ所を掛け持ちする事になったらしい。

絶対に起きないはずの事が起きてしまった。
香奈さんはなくてはならない存在で、あれだけの
資質を持った人はまず見つからないと思うが、彼女の
精神状態が限界に達した為の上司の思い切った
決定だった。

私は思わず顔を覆った。
涙が滲んだ。
3年前に鬼山・鬼林がいる部署から今の職場に
異動した時から1番心配していたのが、1人残して
来た香奈さんの事だったのだ。

香奈さんはとても仕事のできる人だ。
有能さを鼻にかけず、決してでしゃばらず、いつも
細かいところまでさり気なくサポートしてくれる。

香奈さんから「もう同じ空気を吸うのもイヤです!
顔も見たくないです!」と言われる程忌み嫌われて
しまった鬼山は、今まで随分香奈さんに助けられて
いたが、いなくなって初めて彼女の有り難さが身に
沁みるのだろう。

思わぬ朗報を胸に帰途についた。
アーニーの事は考えない様にしよう。
もう少しの我慢だ。
泣くのはまだ早い。

歩き慣れた道を、ほんの少し急いだ。
by wanda_land | 2007-08-29 20:53 | アーニーのお話