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ワンだ~ランド

wandaland.exblog.jp

なにげない出来事を薄く薄くのばしていく金箔職人ワンだの世界

カテゴリ:黒の時代( 25 )

昔アンディーさんというアメリカ人が、英会話の先生として
週に1回我が家に来ていた。
彼は抜群にユニークな人で、私の人生観に影響を及ぼした
1人である。

メディックス(衛生兵)としてベトナム戦争に赴き、
せっかく生還したのに、ご褒美として政府から支給された
ディズニーランドのファミリーフリーパス欲しさに、再び戦地に
舞い戻ったというツワモノでもある。

英会話の勉強などそっちのけで、毎週我が家は彼が繰り出す
ギャグやジョークで大賑わいだった。
私が出会った中では最高のエンターテイナーで、彼に関する
エピソードは数多い。

詳しい話は後にするとして、このアンディーさんの生い立ちが
幸せとは何か深く考えさせるものだった。
アンディーさんはお母さんがまだ14歳(?)の時に生まれた
のだが、このお母さんがかなりのスパルタママだった。

躾が厳しいと言うよりも殆ど幼児虐待に近く、ベルトで
打たれたり、パンプスのヒールで殴られたりして、近所の
子供達からもそれ相当に恐れられる存在だったらしい。

ところがアンディーさんはその話を面白おかしく私達に
語って聞かせ、爆笑の渦に巻き込むのだった。
きっと心の傷として残っているはずなのに、この明るさは
いったい何だろう、どうしてこんな辛い過去を笑い話に
できるのだろうと不思議に思っていた。

他にもシャレにならないエピソードを色々と聞かせてくれたが、
それは現実に起きた出来事ではなく、まるでスタンダップ・
コメディアンが話すブラックジョークの様だった。
by wanda_land | 2005-11-03 21:39 | 黒の時代
前世で関わりのあった人達とは現世でも再び出会うと言う。
良縁・悪縁、どちらにしても縁があれば様々に形を変えながら
次の世も、またその次の世も巡り会いを繰り返すと。

また前世でいじめた側といじめられた側の立場が逆転する
場合があるとも聞いた事がある。
これは要注意である。
もしかするとずたずたに傷つけた相手から、次は復讐される
かもしれないのだから。

前世での恨みを持ち越さないよう、そして憎まれないように
できるだけ罪少なく生きて行かなくては。
いつまでも物事に執着せず、さっぱりと割り切った方が
気分も楽だろう。

と、ここで「前世でやり残した事が足かせとなり、すぐには
生まれ変われない。」との情報が入った。
さて、これは困ったぞ。

まだまだ美味しいものをいっぱい食べたり、映画を観たり
旅行にも行きたいなど諸々の欲はあるものの、死んでも
死に切れないほどの未練は無い。
それに人間から格下げされる様な大罪を犯した覚えも
無いから、恐らく次も人間だろう。

しまった、すぐに転生したらどうしようか。

それならいっそ仏様にお願いして桜の木にしてもらおう。
厳しい冬をじっと耐え抜き、私が1番好きな春に花を咲かせて、
ほんのひと時大勢の人々の目を楽しませるのだ。
そして散る時が来たら、微笑みながら私を見上げている
あの人の頭や肩に沢山の花びらを散らしてあげよう。

そうだ。
桜の木がいいな。
もし輪廻転生というものがあるのならば。。。
by wanda_land | 2005-10-31 23:06 | 黒の時代
「ワンださん、ケアマネジャーの試験を受けてみませんか?」

そう言われてごく軽い気持ちで試験勉強を始めたのが
本番4週間前。
何も勉強せずに模擬試験をざっと解いてみると、100点満点の
66点ほど取れたのが私に少々自信を持たせてしまった。

大学受験の時でさえあれほど真剣に勉強した覚えがないくらい、
死に物狂いでテキストを読み、問題を解きまくり、ついに
合格通知を手にしたわけだ。

そしてこの1枚の合格通知がまさに大きな分岐点となるのだが、
これがきっかけで近い将来自分の身の上に何が起きるのか、
まるで予測はつかなかった。

学生時代に何の気無しに取得した単位のお陰で受験資格を
得て、なんとか合格した事にただただ大喜びだった。
未来予知ができたら絶対に選ばなかった道へ、私は意気揚々と
踏み出してしまったのだ。

仕事・職場の人間関係・家族関係と、時期を同じくして何もかもが
想像を絶する重さでのしかかってきたのには、何か特別の
意味でもあったのだろうか。
人生は日々修行だと言うが、これに耐えられる強靭な精神力など
持ち合わせてはいなかった。

あわやというところで押し潰されずに済んだものの、もしも
あの時上司から異動の話が出ずにずっと同じ職場環境にいたら、
私の人格は崩壊していたと思う。
今頃は薬剤を大量投与され、どこかの病院のベッドの上で
朦朧としながら過ごしていたかもしれない。

或いは運が良ければネット上で知合った、目的が一致した「お仲間」と共に
旅立つか、樹海の奥にでも入り込んで暗く湿った土の上に身を横たえて
いたかもしれない。
自殺者は年々増加の一途を辿っている。
私も危うくその数に入るところだった。
by wanda_land | 2005-10-23 22:31 | 黒の時代
騒ぎを知った猫見さんが「ああっ!私達その時ちょうど
その場に居合わせてましたよ!
狐沢さん、もーーのすごく恐かったですよー。
電話をガシャンと切った後に『何をしてるわけっ?もうっ!
今月の給料やらないからね!!』ってカンカンに怒って
ましたよ。
私なんかどうしていいか分からなくて、1人で顔を真っ赤に
して黙ってましたーー。
ねえ、あの時よね? 恐かったよね~~。」

運悪く同じく猫見さんとその現場にいた犬所くんも、
怯えた表情で「はあぁ。。。」と頷くばかりだった。

使えなくなった保険証を窓口に出した罰としてお給料を
貰えなくなるのは猫下さんなのか、はたまた事務担当の
私なのか、それとも両方なのか是非とも知りたいものだ。

終日原因究明でごたごたしていたが、その日の夕方再度
狐沢から電話があった。

「えーっと、あれね。分かったよ。」
どことなくもったいぶった言い方だった。

「こっちで番号の入力ミスをしてたみたい。
と言う事でやっと原因が分かりましたー。」

全身から力が抜け、ほっとし過ぎて思わず明るい声で
応じてしまった。
「あっそ~。でも分かって良かったね!」と。

もちろん狐沢に濡れ衣を着せられ、お説教を喰らった
猫下さんにその後謝ったという話も聞かない。
自分の失敗でもないのに、簡単に頭を下げるのは沽券に
関わるとでも思っているとしたら大間違いだと思うが。

ここまでくると彼女がまるで底なし沼に巣くうヌシに見えてくる。
これでは良い人材を育てる能力は全く期待できそうにない。
我が道を行くのは結構だが、振り返った時に後ろには誰も
いなかった、という寂しい結末が待っているかもしれない。

        狐沢よ     謙虚になれ。
by wanda_land | 2005-10-21 22:08 | 黒の時代
いくら安月給で薄っぺらい月給袋とはいえ、狐沢が
3週間近くも私のお給料を金庫に入れたままほったらかして
いたのには参ってしまった。

もし私が宵越しの金を持たない主義だったら、とっくの昔に
カラカラに干からびていたところだ。
ろくに謝りもしなかった狐沢であるが、こと他人の失敗と
なると徹底的に叩いてくる。

ある日狐沢から、入居者さんの医療保険証の番号が
間違っていて、数か月分のレセプト(請求明細書)が一挙に
戻って来た、とクレームの電話が入った。
胃がきゅっと痛くなる。

入居者さんの受診時はこちらのスタッフが病院に連れて行く。
月初めには必ず保険証の確認をしてもらうのだが、
どうやら既に番号が変わっている事に気づかず、旧保険証を
せっせと持参していたらしいのだ。

詳しい説明は省くが、例えば保険証の番号が1つでも
違っていると、仮に窓口負担を3割とするとあとの7割の
医療費は病院に入ってこなくなる。
これは一大事だ。

狐沢のご指名で、その入居者さんの受診介助をし、保険証を
窓口へ出した猫下さんに電話を代わったが、狐沢から
「そっちの保険証の管理はいったいどうなってるわけっ?
誰がどんな風にしてるのっ?」などと詰問されたらしく、
すっかりしょげかえっていた。
保険証のコピーをいつも通りに見せただけの猫下さんには
何の罪も無かったのだが。

事務の私としては心穏やかではない。
「私も家族の方に毎月確認すればよかったね。
なんか猫下さんにとばっちりを食わせたみたいでごめんね。。。」

猫下さんは「いえいえ、いいんですよ。
私も何が何だか分からなくなってですね~。」と弱々しく
笑っていた。
by wanda_land | 2005-10-20 21:52 | 黒の時代
さて私達のお給料日は毎月10日と決まっているが、
10日が日曜にかかる時は前日の土曜ではなく、前々日の
金曜になる。

私の場合今どき珍しく現金手渡しなので同僚からちょっと
羨ましがられるのだが、これも良し悪しだ。
給与に当てる予算が不足した時など、役員報酬は後回しに
されてしまうからだ。
なかなかお給料が貰えず悶々とする時もある。

ある日恐ろしく遅れた事があった。
上司も遅れている理由には一切触れてこない。
何か緊急な出費があり、にっちもさっちも行かなくなって
いるのだろうか。
心配だ。。。

恐くて上司に聞くのもはばかられ我慢をしていたのだが、
いくら何でも遅過ぎる。
思い余って直接上司に尋ねてみた。

「ええっ?まだ貰ってない? うそっ。
ちゃんと狐沢くんに預けてるよ?」

狐沢め。
わざわざ休日に事務所に出向く事にした。

「あ~~ら~~、忘れてた~~。」
首をすくめて苦笑している。

「はい、これ。遅くなりました~。」

手渡す時に軽く頭を下げていたが、特に謝ろうという気も
無いらしい。
他のスタッフは8日に給料明細を貰っていたが、私が
受取ったのは3週間後の28日だった。

他人には容赦無い狐沢だが、自分の失敗には大甘な
狐沢であった。
by wanda_land | 2005-10-19 21:22 | 黒の時代
犬坂さんは鬼山からこってり絞られている間に感情が昂って
つい涙ぐんでしまい、鬼山が出て行った後も気持ちを
静めようとしてしばらく説教部屋に残っていた。
それを上司から見られてしまったのだ。

犬坂さんも充分に鬼山と話を詰めなかった点は反省
していた。
上司の了承を得られた為性急に事を進めてしまった、と。

しかし例によって例の如く、何度頭を下げても鬼山は
すんなりと犬坂さんを解放してくれなかったらしい。
1~2回言われれば充分理解できる話を、鬼山は執拗に
繰り返して相手をなじるのが常だ。
嫌らしい性格である。

このチラシの1件が引き金になったのかは分からないが、
もう1つ、私の心を騒がせる事件が起きた。

「今度鬼山さんに私から話そうと思ってるんですよ。
このままじゃますます天狗になってしまうからね。
でももしそれで。。。。」

天狗の鼻を折る事には大賛成だったが、私はこの後に
続く上司の言葉に耳を疑った。

鬼山がもしへそを曲げて辞めるとなったら業務は途端に
滞ってしまう。
ても彼女の代理は誰もいない。
しばらくの間犬森さんに肩代わりをしてもらうつもりだ、
と言うのだ。

犬森さんは施設長だが、異動前にほんの短い間
ケアマネジャーも兼任していた。
後任が決まるまで施設長とケアマネジャーを兼任させようと
いう魂胆らしいが、とんでもない話だった。
by wanda_land | 2005-10-09 22:31 | 黒の時代
「この前犬坂さんに鬼山さんが結構ひどい事を言って
泣かせたみたいだもんねぇ。」と上司がぼやいた。

「もう天狗になってるみたいでさぁ、他の部署からも
鬼山さんをなんとかしてくれないかっていう声も
上がってるわけよ。
犬坂さんが落ち込んでるみたいだから、ワンださん、
フォローお願いしますね。」

はっきり言おう。
天狗になる素質満々だった鬼山にエサを与えて肥え太らせて
しまったのは誰でもない、当の上司だ。
いくら鬼山達が重要な仕事を一手に引き受け、他の人材が
育たないからと言っても特別扱いのし過ぎだったのだ。

今度はよりによってあの犬坂さんがピンチだ。
犬坂さんほどの人が何故?
皆から慕われ信頼され、スタッフの中では別格の存在だった
彼女が、鬼山ごときに撃沈させられるとは。

フォローしようにも事件の内容が分からなくては慰めようも
ないのだが、たまたま会う機会があり、何が起きたのか直接
犬坂さんに尋ねる事にした。

初めは「いえいえ、あれは私が悪かったの。
私がちゃんとしてれば良かったのよ。」と自分を責める
言葉しか聞けなかったが、しつこく食い下がる私に根負け
したのか、やっと重い口を開いてくれた。
by wanda_land | 2005-10-06 23:31 | 黒の時代
鬼山の威力はまだまだ衰えるところを知らないらしい。
彼女の手伝いをきっぱり断ってからしばらく平和な日々が
続いていたが、ほっとしたのも束の間また事件勃発である。

あちこちの部署から鬼山への不満が噴出し、さすがの
事務長も黙認できないところまできてしまった様なのだ。
しかしこれは前から予測できたはずではないか。
鬼山は完全に天狗になっている。
甘やかされて天狗の鼻は天まで届く勢いだった。

あれから1年7ヶ月が経とうとしているが、私の後任の
ケアマネジャーはいまだに決まっていない。
当然だ。

有能であれ無能であれ、鬼山・鬼林と問題無く仕事ができる
人間がいるわけがない。
できる人は潰され、できない人は排除されるだろう。
彼女達と同じ仕事をこなしながら上手く付き合っていけるのは、
よほどの人格者か或いは根っからのワルだろう。

年上の同僚を立たせて延々とお説教をしたり、自分のミスを
他人になすりつけた上に逆切れしたりという話は聞いて
いたが、上司の口から予想外の人の名前が出た時には
自分の耳を疑った。

今度の犠牲者は開設したばかりの小規模多機能型施設に
異動となった犬坂さんだった。
犬坂さんはあらゆる面で凄い人であり、素敵な人なのだ。
by wanda_land | 2005-10-05 21:26 | 黒の時代
こうして私の血管がぶち切れる前に、意外にも普段は温和な
犬山さんの血管がぶち切れてしまったわけだが、
次に続く彼女の言葉に、めらめらと燃え盛るはずだった
怒りの炎が線香花火レベルに落ちてしまった。

「私、鬼山さんにいつか言おうと思ってるんですよ。
『あの時私に何て言ったか覚えてますか?
謝って下さい』って。」

犬山さんの断固たる決意表明に思わず「ひいぃっ。。」と
小さく叫びそうになった。
あの鬼山に事もあろうに詫びを入れさせようとしているのだ。

事実関係をはっきりさせるのはいいが、それを根に持った
鬼山が犬山さんに辛く当たらないとも限らない。
私はやんわりと止めようとした。
今は感情的になって鬼山に体当たりする気満々でも、
段々冷静になってくれば気持ちが変わるかもしれない。

しかし彼女に二言はなかった。
後日鬼山と2人で車に乗っていた時に本人に問い質したのだ。

「鬼山さん、あの時私に言われた事覚えてますか?」
「え?」
「『頭おかしくない? 大丈夫?』って言いましたよね?」

最初鬼山は忘れた振りをしてとぼけていたものの、最後は
諦めて「すいませんでした。。。」とぼそりと謝ったと言う。
そしてその時の事を「犬山さんが(私を)あんな目で
見るなんて思わなかった。」と振り返っていたらしい。

犬山さんは淡々と話していた様だが、鬼山は「睨まれた」と
感じた様だ。
普段は穏やかな人が本気で怒るとコワイのだぞという教訓が、
これで身に染みていればいいのだが。
by wanda_land | 2005-09-29 21:06 | 黒の時代