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ワンだ~ランド

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なにげない出来事を薄く薄くのばしていく金箔職人ワンだの世界

<   2007年 08月 ( 23 )   > この月の画像一覧

誰もいない自宅に帰り着いた途端、緊張の糸が
ぷつりと切れた。

戸をぴっちりと閉めて玄関の上がり口に座り込み、
小さな子供の様に泣きじゃくった。
うあぁーーーーーん! という泣き声を上げたのは
小学校以来だった。

ほんの昨日までは私の目の前にアーニーが寝ていた
のに今日はいない。
今日からずっとずっといない。

私よりうんと遅く生まれたくせに、どうして途中から
私を追い越してどんどん年を取っちゃったの?
たった12年の付き合いだったのに、もうさよなら
しないといけないの?
私を置いて1人で逝くなんてひどいよ。。。

職場で読みかけていた猫福さんのメールには、
こんな続きが書いてあった。

「もう、痛みも苦しみも消してしまったから
いつもの元気なアーニーです。

見えないのがちょっと寂しいけれど、いつもの
ところにちょこんといます。
見えないけれどココにいるから、早く元気になって
ほしいと心配しています。

でも普通は見えないしいなくなっちゃって寂しいん
だぞーとこちらの状態のこともちゃーんと説明して
みたけれど、魂になったのでなんかいつもより
ねーさんといっしょにそばにいられるとわかって
むちゃくちゃ喜んで鼻フンフンいわしているんです
けどww
今日半日がんばれー。」

「天国からの手紙」という番組がある。
亡くなった家族が今どんな想いでいるのか、残された
家族に何を言いたいのかを、江原啓之氏が霊視し、
手紙という形にして伝えるという様な内容だ。

このメールは猫福さんを通じてもらった、アーニー
からの手紙だと思う。
by wanda_land | 2007-08-30 23:00 | アーニーのお話
その日は休日だったが、2日間もワガママをさせて
もらったので、午前中だけ出勤する事にした。

同僚に迷惑を掛けたお詫びと、アーニーの安らかな
最後を看取った事を職場の連絡ノートに書いた時は
さすがに涙が滲んだが、その後は普段通り仕事に
集中する事ができた。

12時になって帰る準備をする前にちょっとだけ
携帯メールをチェックしてみると、やはり猫福さん
からのメールが届いていた。

「夕べはよく眠れたでしょ。
アーニーが笑って教えてくれました。」

冒頭部分でいきなり驚かされた。
彼が傍にいたとは!

しかも悲しみに打ちひしがれて夜通し眠れなかった
はずの私が、ぐーぴー寝ていた事をちゃっかり
猫福さんに報告していたとは!

最後までメールを読めばせっかく抑えていた感情が
爆発してしまうと分かっていたので、急いで携帯を
バッグに入れて帰ろうとした時だった。

「ワンださん、聞いてます?  あの話!!」
施設長が真剣な顔で聞いてきた。
そのあまりの迫力にたじたじとなる。

「いえいえ、悪い話じゃないんですよ。
実はですね。。。」

鬼山・鬼林コンビの下で事務をしていた香奈さんの
異動が決まったというのだ。
現在建築中の施設へ正式に異動するまでの間、私の
職場ともう1ケ所を掛け持ちする事になったらしい。

絶対に起きないはずの事が起きてしまった。
香奈さんはなくてはならない存在で、あれだけの
資質を持った人はまず見つからないと思うが、彼女の
精神状態が限界に達した為の上司の思い切った
決定だった。

私は思わず顔を覆った。
涙が滲んだ。
3年前に鬼山・鬼林がいる部署から今の職場に
異動した時から1番心配していたのが、1人残して
来た香奈さんの事だったのだ。

香奈さんはとても仕事のできる人だ。
有能さを鼻にかけず、決してでしゃばらず、いつも
細かいところまでさり気なくサポートしてくれる。

香奈さんから「もう同じ空気を吸うのもイヤです!
顔も見たくないです!」と言われる程忌み嫌われて
しまった鬼山は、今まで随分香奈さんに助けられて
いたが、いなくなって初めて彼女の有り難さが身に
沁みるのだろう。

思わぬ朗報を胸に帰途についた。
アーニーの事は考えない様にしよう。
もう少しの我慢だ。
泣くのはまだ早い。

歩き慣れた道を、ほんの少し急いだ。
by wanda_land | 2007-08-29 20:53 | アーニーのお話
彼は火葬場の風景も自分の目で見ていた様だ。
また猫福さんからのメールを引用させてもらう。

「怒濤の2日間だったけれど 最後は静かに逝って
くれて本当によかった。

いまアーニーは、自分が亡くなったことやっと
理解したところです。
帰るからだがないのと、帰りたくても帰れないので
どうして体から抜けちゃうんだろう???????って感じ
でした。

自分の体が焼けてしまうときは、かなりショック
受けていましたがあきらめも同時についたようです。
あの体に入っても元気に歩くことは出来ない、息が
苦しいだけなんだとよーっくいいきかせたし、もう
戻れないんだよとも話しました。」。。。。


たとえ虹の橋が無いとしても、私の生が終わった
時にきっとどこかでアーニーと会えると信じている。
そんな何の根拠も無い私の思い込みを、猫福さんは
しっかり肯定してくれた。

「うん、本当にあえるよ。
アーニー待ってるから。
そして今度は私を通してでなく、直にねーさん
(ワンだの事)と話せるから。」。。。。


あまりお腹が減っていないので、その日の夕食は
残り物を適当に食べたが、翌朝計ったら体重が
この2日間で1、6キロ落ちていた。
(もちろんすぐに挽回してしまったが。)

普段より少し早目に休む事にした。
疲れてはいるが興奮状態できっと眠れないに違いない。
夜通し泣いて一睡もできなかったらどうしよう、
明日は出勤しなくてはいけないのに。。。

ところが、である。
ベッドに横になるとスウィッチが切れた様に意識が
無くなり、アラームが鳴るまで夢さえ見ず、1回も
目が覚めなかった。
こんな事はまず無い。

私はアラーム音が嫌いなので鳴った時にすぐ
止められるよう、いつもはかなり前の時刻から時計を
握り締めて待っているほどだ。

2日間の無理な姿勢が祟って腰が痛かったが、それも
翌朝にはすっかり回復していた。
腰が悪い私がどうしてあんな姿勢で2日間を過ごせた
のかも謎だった。
by wanda_land | 2007-08-27 22:04 | アーニーのお話
大先生の車を先頭に、アーニーを乗せた私達の車と
兄の車が続く。

雑草が生い茂り、大きな車では脱輪しそうな獣道を
うねうねと上って行くと、行き止まりに大先生が
建てた火葬場がぽつんとあった。

病院で敷いてもらった白いタオル地の布と、体を
包んでいた綿毛布を外し、大先生と兄で彼を台の
上に乗せる。

形あるアーニーとはここで最後のお別れになったが、
開かれた扉の向こうに運ばれる彼の後姿に、私は
思わず「バイバイ」と言ってしまった。

もっと他にその場に相応しい言い方があったはず
なのに、なんだか妙に軽薄な別れの挨拶になって
しまった。
「ちょっとそこまで遊びに行って来る」アーニーを
見送る様な言い方だ。
(もっとも後になってみると、この喩えは当たらず
とも遠からじ、だと分かるのだが。)

自宅に戻って母と2人で黙々と後片付けをする。
彼の為に作っていたお薬カレンダーを冷蔵庫から
外すと、彼がいなくなったという実感がまた少し
沸いてきた。

味覚音痴だったのか、苦いはずのお薬を口に入れると、
いつも美味しそうにカリカリ食べていたっけ。
でも嫌がらずに飲んでくれてありがとうね。

早速お礼のメールを猫福さんに出した。

「私がアーニーを失って半狂乱にならなかったのは、
猫福さんのお陰だよ。
目や頭が痛くなるほど一日中泣き続けていたけれど、
またいつか会えると信じているから、心が少し軽いの。
明日からはナナの中にアーニーが入っていると思って、
ナナを可愛がろうと思います。」

猫福さんのレスはこんな風だった。。。
by wanda_land | 2007-08-26 22:33 | アーニーのお話
ところで亡くなった直後から1つだけとても
気になっていた事がある。
茶色のシミの様なものが一筋、アーニーの左目の
目頭から1cm程下に伸びているのだ。

病院で体を拭いてもらった後も消えていなかった
ので、思い切って舐めてみると、それはしょっぱ
かった。   
 
彼の傍でしょっちゅう泣いていたので私の涙
だったのかもしれないが、もしそうならアーニー
の顔は茶色いシミだらけになっていただろう。
あれは彼が流した最初で最後の涙だったのかも
しれない。

他の患者さんの診察が一段落して、そろそろ出発の
時間になろうとしていたので、メールでその事を
兄に伝えた。

遺骨はどんな入れ物に入れようか。
大先生の奥さんから小さな骨壷を幾つか見せて
もらったが、どれを見ても今ひとつピンと来ない。

犬のお骨を人間様のお仏壇に置いてはいけないし、
ずっとそばに置いておける物という漠然とした
思いがあったので、いかにもな入れ物ではない方が
いい。

「こんな物もありますけどね。」

奥さんの手にはシルバーで筒型の容器があった。

「あっ、それをお願いします。」

キーホルダーになっているので、チェーンに
通して首から下げられる。
これだ!と思った。
私のイメージとぴったりだ。

大先生がアーニーを乗せたストレッチャーを押し、
裏口から出す。
その頃兄も病院に戻って来たので、大先生と兄の
2人がかりで苦労しながら車の中へ運び入れていた。

主治医の彩香先生が所在無げに玄関に立っている
のが見える。

「あの~、最後にもう1回触ってもいいですか?」

彩香先生はアーニーの左手を優しく撫でてくれた。
さあ、いよいよ出発だ。
でも1人ぼっちで旅立つアーニーに寂しい思いを
させたくない。

古ぼけたこのお人形を、私やお母さんの代わり
だと思ってね。
私はタオル人形の手にアーニーの左手をそっと
重ねた。
by wanda_land | 2007-08-25 21:36 | アーニーのお話
病院の奥にある処置室の様な部屋へアーニーの
遺体は運び込まれた。
体を拭いて火葬場へ行くまで1時間以上かかるが、
私と母はそのまま待つ事にする。

彼が亡くなった日付や、遺骨をどうしたいのか、
もし遺骨を残すならどの部分を希望するのかを記入
する書類をもらう。

きれいに拭いてもらったアーニーと対面した時、
「アーニー、私もすぐ行くからね!」と母が
言ったのには驚いた。
私も心の中では同じ事を考えていたからだ。

また会うまで何十年も待たせないからね、と。。。

あまりにも体が大きいので箱に収まりきれず、
彼は伏せをした状態で箱の縁に顎をちょこんと
乗せ、顔の横には紫色の紫陽花が添えられていた。

私は思わずアーニーの顔に頬をすり寄せた。
死後3時間以上経っているのに、気のせいなのか
まだ少し暖か味を感じる。

亡くなった時は目を開けたまだだったので、私が
閉じたのだが、呼びかけたら今にも瞳をぱっちりと
開けそうだった。

まるで涼しい木陰でまどろんでいる様な穏やかで
優しい顔。
できるならいつまでもいつまでも撫でていたかった。

今年に入ってからだったか、「アーニーは大きく
なっても顔がかわいいよね。」と母が口にする様に
なった。
仔犬の頃も愛くるしかったが、亡き骸になった
今でもかわいいままだ。

大先生の奥さんが入って来られ、「アーニーは
幸せだったですね、羨ましいですよ。
私もこんな死に方ができたらいいなと思います。
そんなに長く寝込まなくて、すーっと逝けたら
いいなと思いますよ。」と涙ぐまれた。

本当にその通りだと思う。
たった2日間の介護だったが、様々な事がぎゅっと
凝縮された日々だった。
思い残す事は殆ど無い。

やはり仕事を持っている私としてはそうそう休めない。
これ以上長引いたらどうしよう、体力的にもきつい
かなと思っていたが、彼は絶妙なタイミングで息を
引き取った。
by wanda_land | 2007-08-23 22:52 | アーニーのお話
「そしたら5時過ぎくらいに出発しようか。」

アーニーを火葬する為病院に連れて行かなくては
ならない。

一旦自宅に帰った兄が予定の時間を20分以上
過ぎても戻って来ないので、メールか電話でも
しようかと思っていた頃、職員さん達が玄関の前を
通りがかった。

「アーニーはどうやったですか?」

前日から玄関先に寝ていて、いつもの様にフェンスの
中に姿が見当たらなかったので、心配してくれていた
のだった。

職員さん達の職場からはアーニー達が日中うろうろ
しているのがよく見える。
仕事の合間やお昼休みなどに、アーニーはよく声を
掛けてもらっていた。

おやつか昼食の残りでももらっていたのだろう、
アーニーはよく事務所の真正面にどっかりと座り込んで
中をじーっと覗き込み、何か美味しいものを投げて
もらうのを待っていたものだ。

と、ちょうどそこへ兄が戻って来てアーニーを車の
中に運ぶ事になり、その職員さん達が快く手伝って
くれた。

37キロの体を倒したリアシートに乗せるのは楽では
無い。
男性3人がかりでやっと持ち上げる。

もし予定通りの時間に兄が来ていたら、こちらから
お願いしない限り助っ人は望めなかった。
きっと男1人、膝やら腰やらが悪い女2人で四苦八苦
していた事だろう。

この母の車も、「アーニーを病院に連れて行ったり
する時に、乗り降りし易い事」という、母が提案した
条件にぴったりだったので、彼の為に買った様な
ものだった。

低くてフラットな床は、足腰が弱っていた彼には
確かに最適だったと思う。

間も無く病院に到着。
ロビーにいるのは1組だけで、いつもいるはずの
常連さん達が珍しく今日はいなかった。
私はかえってほっとした。
アーニーを知る人達に状況を説明する気力など
無かったからだ。
by wanda_land | 2007-08-21 21:52 | アーニーのお話
最後のお別れをさせようとナナを連れて来たが、
ちっとも状況が分っていない様だった。

「アーニーは死んじゃったよ。
さよならは? さよならしないの?
もう会えなくなるとよ?」

くんくん鳴いてアーニーの死を悼むどころか、ナナは
あらぬ所の匂いを嗅ぎ、彼には目もくれなかった。
4年も一緒に暮らしたくせに完全無視を決め込んで
いる。

その時はナナの冷たさを少し恨んだが、よくよく
考えるとアーニーに何事かが起きているのは、ナナも
ちゃんと理解していた節がある。

2日間ともナナだけをフェンスの内側に放して2匹を
離ればなれにしていたし、夜中などはアーニーを
玄関の中に入れて、ナナは犬小屋に寝かせていたが、
全く吠えたり騒いだりしなかったのだ。
普段なら絶対にあり得ない。

先にアーニーを外に連れ出したり、通院の為車に
乗せようとすると必ずやかましく吠え立てながら、
フェンスを乗り越えんばかりに大騒ぎをしていたものだ。
それなのに最初から最後までナナは実に大人しかった。
うんともすんとも言わなかったのである。

実はそれも猫福さんにはお見通しだった。

「ナナはおりこうにしてるでしょ?」

電話で話していた時猫福さんがさり気なくそう
言ったので、以前も同じ様な事があったのをふと
思い出した。

4年前に父が亡くなった時の事だ。
毎日夕方になると2匹を玄関に入れていたが、
さすがにこの時は人の出入りが激しくなるので、
しばらく犬小屋に寝かせる事にした。

私達のお迎えが遅くなると、ピーピー鳴きながら
フェンスをがしがし引っ掻いて催促していたアーニーが、
何かを感じ取ったのか、ナナと一緒にじっと我慢して
くれていた。

そして四十九日(100ヶ日だったかも)を済ませた
翌日、いきなりピーピー がしがしやり始めた。
実は猫福さんから話が伝わっていたらしい。
今回もきっと猫福さんから言い含められて、ナナは
文句の1つも言わずにいてくれたのだろう。

大叔母が作ってくれたタオル人形を、母がアーニー
に持たせた。
私はジップロックにおやつを入れて、毛布の中に
押し込んだ。



虹の橋の向こうに行って友達ができたら、いっぱい
遊んだりこのおやつを分け合って食べるんだよ。
ちょっとしか持たせてないけど、きっと食べても
食べても減らないからね。

もしそこでロンリーと会ったら友達になってあげて。
そしてロンリーと遊びながら私を待っててね。
多分そんなに長くは待たせないと思うから。。。
by wanda_land | 2007-08-20 21:55 | アーニーのお話
「アーニー!! 死んだらだめーー!!」

彼の体から魂が抜け出るのを止めようとするかの
様に、私は我を忘れて叫んでいた。
母も「アーニー!ありがとう!」と言いながら
おいおい泣いていた。

母の第一声が「ありがとう」だったのは意外だった。
彼の身に何がしかの奇跡が起きればと願いながら、
「ありがとう」運動をこっそり展開していた事は
母には何も話していない。

その時までアーニーに感謝している、などという
会話は私達親子の間で交わされた事は1度も
なかったのだ。

私が彼に1番言いたいのは「ありがとう」だった。
いつかどこかで再会できたら、話したい事は山ほど
あるが、やっぱり最初に掛けたい言葉は
「ありがとう」だ。

「ねぇまだ死んでないんじゃない?
なんか動いてる気がするよ?」

あまりにも唐突で静か過ぎる最期だったせいか、母は
そんな疑問を口にしたが、アーニーはそれっきり
動かなかった。

「いや、死んでるよ。
 だってほら、全然胸が動いてないもん。
 死んでるよ。。。」

自分にも言い聞かせる様に私はきっぱりと否定した。

猫福さんと兄に電話を掛け、間も無く兄がやって来た。

排尿があってもペットシートを交換できなかったが、
今はやっと体を拭く事ができる。
大人3人がかりでも彼を持ち上げて体の下側を拭く
のは無理だったので、手が届く部分だけを拭きあげる。

「アーニー、気持ち悪かったね。
拭けなかったもんね、ごめんね。」

アーニーは頭をタオルで拭かれるのが大好きだった。
タオルですっぽりと包みながら拭くと、うっとりして
いたものだ。

動物病院に連れて行ってもおかしくない程度に拭き、
ペットシートから綿毛布の上に移した。
母が前夜まで使っていた花柄の綿毛布だ。

万が一の事があったら、彼が寂しくない様に私の
匂いが染み込んだシーツにくるんで送ってあげようと
思っていたのに、母に先を越されてしまった。
by wanda_land | 2007-08-19 21:25 | アーニーのお話
1時40分頃やっと外出先から母が戻って来た。
携帯酸素も2本買って来ている。
スポーツ用の酸素なので1本で数分しか使えない。

1番状態がひどい時の為にとって置こうかとも
思ったが、今でも状態はかなり悪く、いつが最悪の
状態なのか分らない。
息を吐く時にグーグー言っているので、酸素を
吸わせる事にした。

兄に教えてもらった通りのタイミングで容器の
ボタンを押す。
焼け石に水かもしれないが、必死に苦しさと戦って
いるアーニーを少しでも楽にしてやりたかった。

時たま眩しい太陽が顔を覗かせて気温が上がる。
暑がりのアーニーには更に負担になるはずだ。
どうしようか困ったなと思っていると、爽やかな
風が吹き、また快適な気温に戻る。

梅雨の真っ只中だったが、暑くもなく肌寒くもなく、
小雨がちょっと降ったくらいで、この2日間は本当に
天候に恵まれていた。

せっかく帰って来たくせに、部屋の奥でずっと何やら
ごそごそしていた母も、私が酸素吸入をしている時に
やっと玄関に来た。

酸素はみるみる内になくなってしまった。
呼吸はまだ早くて浅いが、もう手の施しようは無い。
私にできるのは、撫でたり話し掛ける事だけ。

猫福さんを通じて「重くてごめんね」と私に謝って
いたアーニー。
  謝る事なんてないんだよ。。。

抱っこする代わりに彼の顎を手の平に乗せ、時々
前肢を握ったり頭や体を撫でたりした。
1年前に見た夢の中で、私は彼の前肢を握っていて、
私の手をぎゅっと握り返した直後に彼が事切れていた
のを思い出す。

先生から、心臓や肺が悪いと、最期は飼い主さんが
傍で見ていられないくらいもがき苦しむ事があると
聞いていたが、苦しいはずなのに彼の眼差しはとても
穏やかだった。

そうこうしている内に呼吸音が静かになり、お腹と
胸の激しい動きも小さくなった。
そろそろかなと思った直後、彼の目が一瞬大きく
見開かれ、「ふっ」と大きく息を吐いたので、
ちょうどその時後ろにいた母を慌てて呼んだ。

「お母さんちょっと来て!
 アーニーがおかしいよ!」

急いで母が駆け寄った時、彼はもう1度「ふっ」と
息を吐き、お腹も胸も完全に動きを止めた。
アーニーは逝ってしまった。
by wanda_land | 2007-08-18 21:41 | アーニーのお話